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介護の基本知識その2

2025年問題ってなに?高齢社会のリアルとこれから

1. 2025年問題とは?

「2025年問題」とは、団塊の世代(194749年生まれ)が一斉に75歳以上の後期高齢者になることを指します。
この年、日本の人口の約30%が65歳以上となり、世界的にも前例のない“超高齢社会”に突入します。

つまり2025年以降は、

  • 介護や医療を必要とする人が一気に増える
  • 社会保障費の増加
    日本の社会保障給付費(医療・介護・年金など)は 2022年度で約131兆円。
    このうち介護分野だけで 約12兆円。2025年度には 全体で約150兆円に達する見込みで、そのうち介護費用も確実に増加。
    【要因】
    高齢者人口の増加:2025年には75歳以上が約2,200万人に到達。
    介護認定者の増加:要介護認定を受ける人は年々増え、2040年には約1,200万人に達すると推計。
    医療依存度の上昇:医療的ケアを必要とする高齢者が増え、介護と医療の連携コストが拡大。
  • 人材不足の深刻化
    といった課題が、これまで以上に生活や社会に直結してくるのです。

2. 介護人材不足の現実

厚生労働省の推計によると、2025年度には約243万人の介護人材が必要とされています。しかし、現状のペースでは30万人以上が不足する見込みです。

その背景には、

  • 介護職の給与水準が他産業に比べて低い:全産業平均より月5〜7万円低い。
  • 身体的・精神的負担が大きく離職率が高い:夜勤・身体介助・精神的ストレス。
  • 離職率の高さ:特に若年層で数年以内に辞める人が多い。
  • 他産業との競合:少子化で若い労働力が少なく、物流・飲食・ITなど他業界に流れる。

といった構造的な問題があります。

このままでは「施設に入居したいのに職員不足で受け入れできない」という事態も現実味を帯びています。

3. 増え続ける社会保障費

2025年以降、国の社会保障費は40兆円を突破すると見込まれています。
医療・介護費用の膨張は税金や保険料の負担増につながり、現役世代の暮らしにも直結します。

例えば、介護保険料は現在40歳以上が支払っていますが、将来は**「負担する人」より「支えられる人」が多い社会**になるため、制度の持続性が大きな課題となっています。

4. 制度改正と新しい取り組み(2025年現在の動き)

こうした課題を受けて、政府や自治体ではさまざまな施策が進んでいます。

① 行政手続きのオンライン化推進 — マイナポータル活用
 **「介護保険サービスの種類の指定変更申請」**など、複数の行政手続きを マイナポータル(ぴったりサービス)でオンライン可能に。2025年7月30日より運用開始 
 今後、「資格取得・異動」「保険証交付申請」「支払い方法変更」などの手続きも順次オンライン化予定 
② 育児・介護休業法の改正 — 職場での介護支援強化
 2025年4月から、介護が必要な家族を持つ従業員に対して、介護休業制度などを会社が個別に周知し、意向確認する義務が事業主に課されました 
 加えて、介護休暇の取得条件が緩和され、労使協定に関わらず多くの方が取得しやすくなっています 
③ 介護報酬・処遇改善加算の見直し
 2025年4月に介護報酬体系が整理され、従来複雑であった処遇改善加算が 区分整理・一本化されました 
 同時に、政府は「人材確保」と「処遇改善」を喫緊の課題として強く推進しており、公定価格(報酬水準)の引き上げ等を検討中です
④ 地域医療・介護一体改革と財源確保
「地域医療介護総合確保基金」が都道府県に設置され、消費税増収分を活用して、病床機能再編や在宅医療・介護の推進、勤務環境改善を支援しています 
⑤ 介護人材確保への総合的取り組み
 報道では、2025年度末までに必要な介護人材数は 245万人と推計され、約55万人増が見込まれています 
 このため、政府は 参入促進・資質向上・労働環境改善の3本柱を軸に、国家と地域が協力して人材確保を進めています 
⑥ 制度論議が進行中 — 今後の法改正へ
「介護保険部会」では、以下の5つを中心に論点整理が進められており、2025年末までに結論を出し、必要な法改正は2026年通常国会に提出予定と報じられています 
 1.高所得者への2割負担の拡大
 2.ケアマネジメントの有料化
 3.要介護1~2の給付見直し
 4.2040年体制に向けたサービス構造
 5.有料老人ホームの適正運営検討会の設置
⑦ 「未来の健康・アクティブ社会戦略」
 厚生労働省が掲げる「未来の健康・アクティブ社会戦略」では、介護福祉と医療業界の成長促進、イノベーション活用、健康寿命延伸を目指すビジョンが示されています 

5. わたしたちができること

「2025年問題」は社会全体の課題ですが、私たち一人ひとりが考え、準備できることもあります。

  • 両親や家族と将来の介護の方向性について早めに話し合う。相談先は地域の包括支援センター。民間の相談センターは紹介会社の事が多いので要注意。
  • 自分自身も健康寿命を意識した生活習慣を取り入れる。規則正しい食生活、定期的な健康診断、適度な運動。
  • 施設見学や情報収集を通じて介護サービスを理解する。人員充足率、離職率、職員への処遇や職場環境改善への取り組みなど

介護は突然やってくることが多いからこそ、備えておくことが安心につながります。

まとめ

「2025年問題」は、ニュースで聞く遠い話ではなく、誰にとっても身近なテーマです。
介護人材不足や費用の問題は厳しい現実ですが、同時に新しい働き方やテクノロジーによるケアの進化が始まっています。

これからの社会を支えるために、今こそ「自分ごと」として考えていく必要があります。

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