
介護の基本知識その1

介護付き有料老人ホームとは
特徴
- 正式名称:介護付き有料老人ホーム
- 法的区分:老人福祉法に基づく「有料老人ホーム」の一種
- 介護保険上の区分:特定施設入居者生活介護(施設系サービス)
- 介護サービス提供:施設内の職員が直接介護を行う(入浴、排せつ、食事介助など)
- 対象者:混合型は、要介護認定された方のほか、要支援や健康な方も入居が可能。
介護専用型は、要介護1以上の方のみ入居できる施設です。要支援や健康な方は入居できません。
サービス内容
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生活全般の介助(食事、入浴、排せつなど)
主に入居前にインテークといわれる面談があります。そのインテークで入居検討者と施設側の職員が面談を行い
入居検討者が求めているサービスと施設側で提供されるサービスがあっているかどうかの確認をします。
その後、アセスメントと言われる入居検討者の情報収集をし、サービス担当者会議と言われるご入居検討者やご家族、医療職、施設スタッフ等が
参加され施設入居後の快適なサービスプランを作成するための会議をし、ケアマネジャーがケアプランを作成しその方に合ったサービス計画を実行していきます。
この過程を疎かにしている事業所は決して最適なサービスが提供されているとは言えません。
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生活支援(居室、共有部の掃除、洗濯、買い物代行など)
事業所によっては居室の清掃や共有部の清掃を内部の職員で対応させて人件費を削減しようとしている事業所もいますが
逆に施設職員にはご入居者にサービスに専念してもらおうと外部業者をいれている会社もあります。
人員配置基準と言われる、国で定めている3:1(ご入居者3人に対して1名の職員の在籍)を上回る職員を配置して2:1を掲げ上乗せ介護費用を徴収している事業所でも
同様にこの職員が清掃要因になっていることも多いので注意が必要です。
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医療機関との連携(看護師配置ありの施設も多い)
基本的にご入居者に選択できることが前提になっています。逆に施設側から指定される医療機関もありますが、ご入居者と医療機関との契約になるので
本来あるべき姿ではありません。
また、24時間看護配置の施設と日勤のみの施設がありますが、24時間配置の施設では治療目的で無ければ、どのような状態でも継続的に受け入れ可能ですが
日中しかいない施設では、入居後数年たってから施設での受け入れが出来ない等の話があることもありますので注意が必要です。
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レクリエーションや機能訓練
ほとんどの事業所でレクリエーションや機能訓練計画表を作成しているところが多いです。
だた、このレクリエーションの豊富さや別途徴収される費用は施設ごと様々なので施設検討の際にはレクリエーションのバリエーション数と費用の確認は必要です。
機能訓練においても食堂を機能訓練スペース兼として届け出している施設もあれば、別に機能訓練スペースがありマシーンを設置している施設もあり様々です。
メリット
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介護と生活支援が施設内で完結
介護のサービスの他、食事提供や清掃や洗濯、買い物など一通りの生活のなかで必要なサービスは網羅されている。
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介護職員や看護師が常駐しており、重度介護にも対応可能
但し、上記にも記載している通り24時間看護師配置の施設と日中のみの看護師配置では対応ができるレベルは異なるので注意が必要です。
グループホームとは
特徴
- 正式名称:認知症対応型共同生活介護
- 法的区分:介護保険制度上の「地域密着型サービス」
- 対象者:認知症の診断を受けた要支援2~要介護5の高齢者
- 定員:1ユニット9人以下(少人数制)
- 居住形態:家庭的な住環境で共同生活
サービス内容
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調理や掃除などをスタッフと一緒に行い、生活リハビリを実践
身体面で自立されているご入居者と一緒に清掃や買い物から調理まで実施するので、主体的に生活ができる。
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認知症ケアに特化した介護(見守り、声かけ、日常動作の支援)
認知症の方専門で入居されている為、認知症ケアにおいてサービス力が高いところが多いが
施設によっては人員不足でサービスがままならないところもあり。
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医療連携はあるが、医療依存度が高い場合は対応が難しいことも
メリット
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少人数で家庭的な雰囲気
認知症の進行を緩やかにし、できることを活かす生活が可能
違いを比較してみよう
詳細比較表
項目 | 介護付き有料老人ホーム | グループホーム |
対象者 | 要介護1~5(自立型あり) | 認知症+要支援2~要介護5 |
定員 | 数十名から数百名規模 | 1ユニット9名以下 |
介護保険区分 | 特定施設入居者生活介護 | 認知症対応型共同生活介護 |
介護体制 | 常時介護職員配置、看護職員配置多め | 少人数制、認知症ケア専門 |
医療対応 | 比較的整っている | 限定的(応相談) |
居住環境 | 施設型(ホテル・マンションタイプ) | 家庭的な一軒家や小規模住宅 |
レクリエーション | 多彩(運動・趣味・外出など) | 生活動作を活かした活動中心 |
入居条件 | 要介護認定(一部自立も) | 認知症診断+地域要件あり |
外部サービス | 医療は外部連携 | 必要に応じ医療は外部連携 |
入居一時金(目安) | 0〜数千万円(首都圏高級型で1,000万超も) | 0〜50万円程度 |
月額費用(目安) | 15〜35万円程度(介護保険自己負担・医療費別) | 12〜18万円程度(介護保険自己負担・医療費別) |
選ぶときのポイント
- 医療的ケアが必要な場合 → 介護付き有料老人ホームがおすすめ
- 認知症ケアを重視したい場合 → グループホームが適している
- 入居条件(特にグループホームは住民票がある市区町村に限定される場合が多い)を必ず確認
- 実際に見学して、雰囲気や職員の対応をチェックすることが大切
離職率ー1年間で退職した人数
資格保有率ー国家資格の介護福祉士を保持している率
今年の朝日新聞にも掲載されていましたが、
最近施設選びでは紹介会社が主流ですが、施設側は入居を促進するためにキャンペーンとして1名の紹介あたり数百万円あたり支払うところもあり
紹介会社によっては高額な紹介料を払う事業所に誘導するところも多くなってきています。
終の棲家を選ぶ際には必ずご自身の目で確認しながら厳選されることをお勧めします。
https://www.asahi.com/articles/AST2J3C2ST2JUTIL00PM.html
まとめ
同じ「介護施設」でも、介護付き有料老人ホームとグループホームは対象者・介護体制・生活スタイルが大きく異なります。
ご本人の状態や希望、将来の介護度の変化も踏まえて、長く安心して暮らせる環境を選びましょう。