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介護の基本知識その3

グループホーム最前線:2024–2025の制度変更と現場インパクト

1) 今年度・直近の制度トピック(要点だけ先取り)

  • 基本報酬が+1単位に微増(2024年度改定)。ただし全体収支は“加算の取り方”で差が出る構造に。
  • 医療連携の再強化:協力医療機関との連携要件見直し・「協力医療機関連携加算」新設「退居時情報提供加算」新設など、情報連携と医療対応の評価が手厚く。ご家族への情報共有も制度面で後押し。
  • 感染症レジリエンスの評価
    • 高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)(3年に1回以上の実地指導等)
    • 新興感染症等施設療養費(240単位/日)(パンデミック時の施設内療養を評価)
      グループホームも対象に含まれ、BCP・感染制御体制の整備が“収益と質”の同時ドライバーに。
  • **認知症基本法(2024/1/1施行)**が自治体計画の裏付けに。本人参画・地域共生を掲げ、今後の自治体施策や地域連携の“芯”になる。

2) 供給・市場の足元データ(最新公表)

  • 事業所数は増加基調:2023年10月1日現在で14,262事業所(前年比+0.9%)。小規模・地域密着の特性は維持。
  • 平均ユニット規模は依然1〜2ユニット中心(平均7ユニット)。超小規模・家庭的環境が主流。
  • 経営の実感値:2023年度は利用率がやや低下も、単価上昇で損益は概ね横ばいという分析(福祉医療機構の融資先調査)。“利用率×加算”が損益のカギ。

3) 何が現場の差になる?(運営者視点の勝ち筋)

  1. 医療連携の質と見える化
    新設・見直し加算を“要件どおり取る”だけでなく、協力医療機関との役割分担/緊急時プロトコル/退居時サマリーまで標準化し、家族説明にも活用。
  2. 感染対策・BCPの定着
    実地指導・施設内療養の枠組みを、研修計画・物品配置・ゾーニング図まで落とし込む。パンデミックの経験値を定着させたホームは、家族からの信頼も高い。
  3. ユニット運営の生産性
    1〜2ユニット中心の構造で“生産性”を上げるには、記録のLIFE対応・導線改善・夜間体制の再設計が効く。2024改定通知群(栄養・口腔・機能訓練の一体運用)をユニットケアに接続。
  4. 地域・本人参画(認知症基本法の実装)
    本人ミーティングや家族会、地域交流を計画書に制度的に紐づけると、評価・広報・採用まで多面的に効く。

4) ご家族がチェックすべき“3つの質問”(面談・見学時の実用ポイント)

  • 医療連携:「協力医療機関はどこ? 夜間・休日は誰がどう動く? 退居時の情報提供は?」(制度的に強化トピック)
  • 感染症対応:「実地指導を含む感染対策の点検や、施設内療養の方針・ゾーニング手順は?」(評価加算の対象)
  • 生活の“役割”:「家事・買い物・園芸など、本人の“できること”を活かす仕組みは?」(グループホームの本旨に直結)

5) この先6〜12か月の注目点

  • 加算・連携の“実装度”で差:紙上要件を超え、データと説明責任まで揃えるホームが選ばれる流れ。
  • 利用率マネジメント:**稼働×単価(加算)**の最適化が損益を左右。稼働落ち込み局面でも単価・ミックスで踏ん張る傾向。
  • 供給は微増継続:小規模分散型の特性は維持しつつ、都市部での競合はますます“質”勝負に。全国統計の最新公表(毎年12月頃)でトレンド確認を。

参考(データ・一次情報)

※用語注意:「障害者グループホーム(共同生活援助)」は別制度(障害福祉)で、2025年に報酬・加算見直しの議論がありました。本稿は介護保険の認知症グループホームについての解説です。 行政書士遠藤優事務所

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